事故などの原因で腕・手(以下、上肢)を切断した方や、生まれつき上肢の一部がない方などが、その上肢の機能や形態を補うために装着する人工の手です。「外観を自然に見せたい」「片手でやるより効率的に作業をしたい」「片手では出来ないことをしたい」など、その方の希望に応じて、義手の種類を選択します。
現在、よく使用されている義手は大きく分けると、4種類あります。
・装飾義手
・作業用義手
・能動義手(体内力源義手)
・電動義手(体外力源義手)
何種類かの義手を、家事、仕事、外出、遊びなど場面に応じて使い分けている方もいます。
以下、それぞれの義手を説明し、実際に使用されている方(以下、ユーザー)の写真を紹介します。
装飾義手
外観の自然さを重視し、反対側の手に似せて作られています。素材は合成樹脂やシリコンなどを用いています。
機能としては、物を押さえる、軽く引っかけることなどが可能です。また、指の形状を自由に変えられるタイプもあります。※下の写真の中央は装飾義手ではありません。形状や肌の質感の違いを比べてください。
作業用義手
作業がしやすくなる機能・形状を優先し、外観は重視されていません。作業に応じて、手先につける道具(以下、手先具)の種類を選択します。単純な作業や重労働に適しており、農業、林業、木工作業などに従事する方に有効に用いられています。それ以外にも、車の運転や楽器の演奏などで使用されています。
能動義手(体内力源義手)
「動く義手」です。肩甲骨や肩関節など自分の体を動かし、ハーネスやケーブルを介して力を伝え、手先具や肘継手(肘関節の役目をする道具)を動かします。
物を掴む、押さえる、動かすなど、手の代わりとしての機能をある程度果たすことができます。そのため、片手ではしづらい作業が出来るようになったり、より効率的に行えるようになります。
手先具は、フック型、ハンド型があります。フック型は外観が特徴的ですが、細かい作業に向いています。
能動義手の構造です。写真は、肘から肩関節の間で切断された方が使用するタイプ(上腕義手)です。